今月の一言 2019年11月

 伊豆の修禅寺(地名では修善寺)に行ってきました。修禅寺は、弘法大師空海が創建したとされる名刹で、周辺は修善寺温泉として有名です。伊豆には、四捨五入すると半世紀、三桁は優に通いましたが、今まで修善寺はその通過点でしかなく、日帰り温泉に数回入浴した程度でした。去年あたりから、よく通う道の途中にある、見逃してきた場所の空白を埋めてみるようになり、寄り道をすることになりました。

 修禅寺は、台風の影響が残るあいにくの天気でしたが、観光客も多く、外国人の姿も目立ちました。参拝を終えてから、川の反対側に渡り、源頼家の墓という案内札があったので歩いて行くと、ちょうど修禅寺の対岸の小さな社の隣にひっそりとお墓がありました。頼家は鎌倉二代将軍として在職中、修禅寺に幽閉された後に暗殺され、23歳の若さで非業の死をとげたと言われています。古今東西、お家争いや権力闘争に敗れた人の末路は悲しく寂しいものだ、と勝手に思い込みながらそこを後にしました。

 若い頃はどうでもよかったことが、歳をとっていくにつれて興味深いものになっていくのが不思議です。まるで食べ物の好みが変化していくように。

 考えてみると、伊豆も以前と比べて近くなりました。これも高速道路などの交通網の拡大に負うところが大きいと思います。以前は一日がかりだった工程を、半日もかからないものにしてしまったのですから。自然は昔のままであって欲しいと思いながら、開発の恩恵をしっかり受けていることが少し恥ずかしいです。

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