今月の一言 2019年10月

 9月の第一週と二週に二回、最も苦手なヘビに出遭ってしまいました。その日、実家の母の叫び声で勝手口の外に急行すると、今まで見たこともない長さのヤマカガシがそこにいたのです。昔、田んぼや川にいたものは1mもないものでしたが、そのヘビは優に1.5mはありました。しかも、胴体の真ん中は、何か獲物を飲み込んだらしく膨れていました。殺すわけにもいかないので(と言うより恐くて殺せないので)、長い棒をもってきてつついて追い返しました。何十年もこの地で暮らしてきて、水辺以外でヤマカガシを見たことはもちろん、あんな大きなものも初めてでした。今ではほとんど見かけなくなりましたが、実家の周りにいるヘビは、たいがいアオダイショウかシマヘビでした。

 ヘビを見た日から毎日、ヘビのことばかり頭に浮かび、実家の周辺を歩く時は普段気にしない足元ばかり見ていました。それから一週間経った日、またそのヘビが同じ場所に戻って来たのです。この間の獲物は完全に消化したらしく、スリムになっており動きがとても機敏です。ヤマカガシは、マムシ、ハブに続いて「第3の毒ヘビ」と言われており、1972年から4名の死者が出ているそうで、咬まれたら大変です。26,7年前、シマヘビが半ズボンの右足に巻きつき、足の甲を咬まれた恐怖の体験がよみがえってきます。それでも必死に棒でつつき、50m先の森まで移動することに成功しました。

 ヤマカガシの好物は、川や田んぼにいる蛙だそうです。昔と比べると休耕田が増え、蛙の数も減少し、しかも上空には天敵のトビなどの猛禽類がとび回っていますから、そのヘビもあの大きさになるまでよく生きてきたことに感心してしまいます。あれからさらに2週間経ちますが、二度あることは三度あると言われているので、寒くなるまで油断できません。

 実家の池には、毎年どこからとなくヒキガエルが集まってきて産卵し、やがてオタマジャクシとなり、豆粒のような小さな蛙が、梅雨前のある晩に一匹残らず池から姿を消します。それぞれの蛙が移動する途中でヘビなどの件的と遭遇し、幼くして生存競争に巻き込まれていきます。その点、人間は気楽なものです。

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