今月の一言 2019年4月

 春という季節にいい印象を持っている人は多いと思います。寒さが緩み、木々のつぼみが膨らみ、様々な花が咲き始め、土から顔を出して動き回る生き物たち、まさに季節という舞台の幕開けです。私も、中学生の頃までは同じように春の訪れを喜んでいた一人でしたが、歳をとるごとに感じる異変に、初めのうちはあまり気にしていませんでした。中学3年生の時のクラスに絵の上手な友達がいて、彼が描く私の似顔絵の眼球は必ず血走っていました。考えてみると、ちょうどあの頃から発症したのかもしれません。当時は「花粉症」などという言葉は聞いたことがなく、ましてやその原因が杉花粉であると知っている人は少なかったはずです。昼休みにはほぼ毎日校庭でサッカーをやっていましたから、花粉のプールで泳いでいるようなものだったのでしょう。目は痒いし、くしゃみは止まらないし、まさか杉花粉の影響だとは知らずに。

 塾を始めた頃から、ようやく世の中に花粉症という言葉が出てきたように思います。花粉のピーク時には、どこの医者に行っても一向に良くならず、最後には花粉症は耳鼻科が仕組んだ陰謀ではないか、と疑心暗鬼に陥ることもありました。それが20年位前に、知り合いから紹介された医院で注射するだけで、そのシーズンは全く症状が出ず、快適な生活を送ることができるようになりました。まさに地獄に仏で、年に一回その注射をするのが楽しみでもありました。

 今年の2月の初め、私の周りの人たちに花粉の影響が出始めている時、私にはその症状が全く現れません。とうとう来るべき日が来た、と思いました。なぜなら、花粉症は加齢により症状が軽くなる場合があると聞いていたからです。それから、もう大丈夫だろうと実家の屋根のペンキ塗りを始めた途端、やはり今年も使者はやってきました。次の日、慌てていつもの医院に駆け込んだところ、例の注射は今年から扱わないことになっていて、少し成分の弱い注射を打ってもらいました。だいぶ症状は楽になってきましたが、注射を打った瞬間、あのキーンと鼻が通る感覚がありません。花粉も、4月の中頃には飛散量が減少して、過ごしやすくなるでしょうが、来シーズンに向けての憂鬱な気持ちと、また新たな疑念が生じてきてしまいました。来シーズンは、杉花粉のない沖縄に期間移住したいと真剣に考えてしまいます。

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