今月の一言 2017年6月

 先日、自宅の庭の草むしりをしていると、目の前に緑色の小さなヘビが鎌首をもたげて、その距離はまずか50㎝でした。大のヘビ嫌いの私は、一瞬体が凍り付き、まさにヘビに睨まれた蛙の状態です。しかし、よく見ると植物で安心しました。後で図鑑で調べると、カラスビシャクという多年草で、ひしゃくをひっくり返したような形で、先端にあるものがヘビの舌に見えます。毎年、その周辺は年に数回は草むしりをしますが、全く気がつきませんでした。多分、今年になって、鳥などの生き物がその種を運搬したのであろうと思われます。枯れるまでしばらくそっとしてやることにしました。  図鑑を見るようになると、自分がいつもむしっている雑草にも、すべて名前やその由来があることに気がつきました。植物は自力で移動できないので、タンポポのように綿毛に種をつけて飛ばしたり、生物に運搬させたり、人間がその運搬者だったりすることもあります。子供の頃、野原や河原で遊んでいると、ズボンや洋服に植物の種が付きました。いわゆる「くっつき虫」の類です。本来、他の生物がすることを子供たちがやっていたのです。さすがに大人になると野原で遊ぶことはなくなりますが、野菜や庭の植物がよく育つように、ホームセンターで買った肥料の中にも雑草の種が紛れ込んでいて、いつの間にか肥料をまいた場所に、新しい雑草が生えてしまいます。こうして私たち大人は、運搬者として再デビューし、さらに多くの種類の雑草と対峙する羽目になってしまいます。  普段は自分が知る植物以外は、雑草であると認識していますので、根こそぎ引き抜いてしまいますが、長い旅の末、ようやく安住の地を見つけた植物であるとわかると、何となくかわいそうな気がしてそのままにしておきたくなります。ただ、そんな悠長なことを考えていると、雑草とのいたちごっこはいつになっても終わることがなく、ついには雑草だらけの庭になってしまい、それこそ本物のヘビたちのパラダイスになりかねません。

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