今月の一言 2017年3月

 先日、久しぶりに井の頭公園に行ってきました。娘が高校在学中、三回ほど学校から呼び出しがかかった時、この公園を通って行った以来ですから、もう5年は経ちます。私が高校生の時、井の頭線沿線の高校に通っていましたので、時々学校帰りに立ち寄りました。あれから何度となく訪れましたが、この公園ほど昔と変わらない場所は少ないと思います。吉祥寺の駅周辺はだいぶ変わりましたが、この一角だけは取り残されたように、懐かしさでいっぱいになります。

 駅の近くで昼食を買い、公園のベンチに座って食べていると、普段は警戒心が強いはずの山鳩やヒヨドリが、手に届くほどの距離で食べ物を狙っています。彼らに少しあげながら池を眺めていると、鴨や私の大好きなカイツブリ(小型の鴨)が泳いだり潜ったりしています。昼食の静かなひとときを、こんな雰囲気の中で過ごすのも悪くありません。

 昼食後、水生物園と動物園に行ってみることにしました。娘が小さい頃に連れて行って以来、公園に来てもここに入ることはありませんでしたので、20年ぶりくらいでしょうか。水生物園は、水辺に住む鳥類をはじめ、淡水に住む生物館があり、特に後者は子供の頃を思い出す生き物がたくさん展示してあり、まさにタイムスリップしたようでした。ゲンゴロウやタガメなどの水生昆虫にはじまり、今ではほとんど見なくなった魚などが生き生きと泳いでいます。まるで昔の川の中を覗いているように懐かしさでいっぱいになります。

 市内の放送で夕方流れる「ふるさと」の詞の中に、「小鮒釣りしかの川」という一節がありますが、子供の頃には何でもなかったごく普通のできごとが、急に頭の中をよぎってきました。もう一度あの日に帰るのは無理なので、せめてもう一度小鮒釣りをしたくなりました。川面に泳ぐ金色の魚影、餌に食いついて時の微妙な当り、そして釣り上げた時竿を通して手に響いてくる振動、どれをとっても小鮒釣りの魅力です。今春、少し暖かくなったら小鮒がいそうな川を見つけて、糸を垂らしてみようと思います。

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