今月の一言 2016年9月

 小学生の頃、台風などで大雨が降ると、何故かうきうきしていました。なぜなら、大雨が降ると川が濁り、水かさが増え、普段釣れない魚がたくさん釣れるからです。ギバチ(ギギ)という魚で、ナマズを小旗化したような体形で色は茶色、ヒレにとげがあり、手でつかむ時には注意しなければなりません。海にゴンズイというヒレに毒のある魚がいますが、それの淡水型にしたようなものです。この魚はなぜか大雨の後の水が濁った時にしか釣れず、茶色い水の色が濃い時がピークとなり、次の日に色が薄くなってくるとぱったり釣れなくなってしまいます。

 釣る支度は至って単純なものです。細い竹の竿(通称アンマ竿)に糸とハリと急流に流されないように少し重いオモリにエサはミミズです。ミミズは堆肥の掘り返すといくらでもとれます。増水した川のいつもの場所に陣取り、竿は2~3本、エサをつけて投げ、土手の土に突き刺して待っていると、いい時には入れ食い状態になります。ただギバチは口が大きいのでハリを飲み込んでしまい、専用のハリはずしを使ってとりますが、もたもたしていると他の竿にも当りがきます。

 ギバチは型がいいと30cmを超え、網状の入れ物に入れるとヒレが引っかかってしまうのでバケツに入れます。昔からよく言われ、私たちも実際に何度も経験したことですが、獲物を入れる物を準備する時に限ってあまり釣れず、逆に忘れてしまったり入れ物が小さい時に大漁になるというジンクスがあります。ただ、釣れている時のタイミングを逃すことはできませんので、自宅に入れ物を取りに戻る走って往復たった5分の時間も惜しくなります。

 今のように子供の楽しみが少なかった時代は、罰当りのようですが、川が増水することはいつもと違う魚が釣れるので楽しみの一つでした。ギバチはもう何十年も川で見ることはなくなり、淡水魚を扱う水族館でしか見ることができません。子供の頃の楽しかった思い出は、なかなか記憶の中から消えることはありません。今でも、川が増水するとつい川を見に行ってしまいます

最新記事