今月の一言 2016年3月

 先日、世界文化遺産に登録された群馬県の富岡製糸場に行ってきました。  富岡製糸場は、日本の近代化に必要な外貨獲得もため、1872官営模範製糸場として建てられ、殖産興業の一役を担いました。当時としては、世界最大規模の製糸場で、敷地の広さもまるで国立大学並みです。当時は、華族や士族の子女を含め、全国から優秀な女工が集まり、良質な生糸を生産していました。製糸場としての立地条件にも恵まれ、建物や機械なども日本の風土や日本人の体型に合わせて改良されており、日本のお家芸である和洋折衷がいたるところで活かされていました。150年近く前、欧米と肩を並べる国力をつけるため、この製糸場で働く人々を含めた多くの日本人の血のにじむような努力があったことを忘れてはいけません。  ここ最近、日本の「モノづくり」とか「made in Japan」という言葉がよく使われます。使う人の目線に立ち、作る人の工夫が凝らされ、品質にこだわったものなど、その技術の継承や新しい技術の開発が日々行われています。これらの技術が育まれる風土はもちろん、日本人の勤勉さと器用さは今も昔も変わりません。また、常にハングリー精神をもってやってきたことが、明治期のみならず敗戦からの奇跡的な復興を成し遂げる強力な原動力になったことは言うまでもありません。  日頃、生徒たちにも、日本人の持つ力と勤勉さや、日本で作られるものの素晴らしさについて教えています。「必要は発明の母」ということわざは欧米のものですが、日本人にぴったりのことわざです。昔からある「窮すれば通ず」のように、物事が行き詰ってしまうと、思考が働いて突破口が開けると言いますが、私たちはどうしてもそのような局面にぶつかると努力もせずに諦めてしまうことがあります。過酷な状況下、近代の日本の礎を築いてきた多くの人のことを学び、日々の生活に生かしていきたいものです。

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