今月の一言 2015年4月

 今年も彼らがやって来ました。毎年3月の20日前後に、まるで約束でもしたかのように、どこからともなく、たくさんのヒキガエルが実家の池に集まります。一匹が大人の大性の拳くらいの大きさがありますから、普段どこに隠れていて、どうやって生活しているのかが不思議でなりません。もちろん、彼らは産卵のためにやって来るわけですが、毎年決まった日に集まり、夜の舞踏会が始まり、次の朝様子を見に行くと、30匹以上いたはずの蛙がすっかり姿を消しているのです。時々、帰るタイミングを逃した個体がいたり、干支を決める日を間違えた猫のように、1日遅れて一匹で池の中をウロウロしている個体がいる時もあります。多分実家の周りも、以前より道路や建物のような蛙にとっては大きな障害物が増え、少し遠くに住んでいる蛙には池にたどり着く時間がかかってしまうのでしょうか。いずれにしても、自分の子孫を残すために、命を懸けて長い旅をして来る彼らがけなげでたまりません。  池の中には卵がびっしり産み落とされ、オタマジャクシとなり、やがて後ろ足や前足が生え、親のミニチアの体になり、卵から三カ月位経ったある日、夜のうちに一斉に池を出て四方に旅立って行きます。天敵だらけの道を誰の助けもなく、ひたすら生きていく姿にはただ「頑張れ」の一言しかありません。何千と言う小さな蛙のうちの何匹が生き延びて大人になり、またこの池を目指して来ることができるのでしょうか。年々、都市化や車という最大の天敵により、その確率も低くなりつつあります。  今私たちができることは、彼らが毎年来られるように池をきれいに保つことです。そして、卵が産まれたら池に水を入れて環境を整え、池からひとり立ちする日までは静かに見守るしかありません。今年こそ、小さな蛙たちが一斉に旅立つ瞬間を録画してみたいと思います。前日までたくさんいた蛙が、一晩で一匹もいなくなってしまうのですから、この大移動はかなり興味深いものになるでしょう。

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