今月の一言 2016年4月

 毎年3月の中頃、実家の池にたくさんのヒキガエルがやって来ます。多い時には30匹以上、天敵の多い昼間を避けて、夜になるとあちこちから集まって来ます。蛙が嫌いな人は卒倒してしまうかもしれません。玄関のドアを開けると、目の前に蛙がいて、危なく踏みつけそうになったり、道路をゆっくり横切るので、しばらく停車していなければなりません。

 今年は例年より1週間ほど早く集まってきましたが、その数がだいぶ減って、10匹位だったと思います。去年の6月の夜、一斉に旅立った数千匹の子ガエルたちが、あれから生存競争を生き抜いて何匹がこの池に戻って来たのでしょうか。今年は寒暖の差が激しく、出てくるタイミングが難しかったと思いますが、早く来た順に産卵が始まりました。来月になると孵化し、後は理科の教科書通りの姿になって、6月の決まった夜に一斉に池を出て行きます。

 今年は彼らがやって来る数日前に、ギリギリで池の補修が完了し、今まで水漏れしていた個所は防水コンクリートで固め、それでもまだ若干漏れてしまいますが、池全体に水が張れるようになりました。また、天敵である大型の鳥の侵入を防ぐために池全体に釣り糸を張り巡らし、一日に一回はきれいな井戸水を入れていつでも孵化できる状態にしました。

 もうかれこれ50年、途中で池の水が枯れてしまった時期を除けば、毎年決まった季節に集まるのがなぜこの池なのか、ということも不思議です。近くには平井川がありますが、ヒキガエルは陸上の蛙ですから、池などの水たまりを好むのでしょう。川に産卵すると、増水などにより卵が流れてしまったり、魚や鳥などの天敵もたくさんいます。その点、人が管理する池は、常に人の目がありますので、彼らもそれを知っているのでしょうか。多分、蛙も自分が生まれた場所を認識していて、ちょうど放流したサケが海に下り、大洋を回流した後に生まれた川に戻ってくるのと同じなのでしょう。人間と比べると、他の生き物は何と逞しいのでしょうか。

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